太陽光発電の用地に向いている好条件な土地とは

はじめに、太陽光発電の設置に向いている土地の条件について解説していきます。以下のような土地は、太陽光発電の設置に向いていると評価できます。

日差しを遮るものが周囲に無い

まず日差しを遮る障害物が周囲に無い土地が、太陽光発電の用地として向いています。太陽光発電は太陽光エネルギーによって発電しますので、日差しを完全に遮る障害物があると発電自体ができなくなってしまいます。

日差しを遮る障害物は、具体的には木や電柱、建物などがあります。太陽光発電システムの周辺に障害物があったとしても散乱光により多少の発電は行われますが、できるだけ周囲に何もない土地に設置しましょう。

ソーラーパネルが何十枚も置ける広さ

太陽光発電の設置が向いている土地としては、何十枚ものソーラーパネルが設置できる広い土地であることが絶対条件と言えます。太陽光パネルの枚数にもよりますが、50kWの太陽光発電システムを設置するのに必要な土地面積は、約500平方メートル（約150坪）となっています。

こういった点でも、都会よりは田舎のほうが適した土地を見つけやすいでしょう。

傾斜が無い（平らな土地）

日本国内で太陽光発電を設置する場合、太陽光パネルの角度が30度程度であることが発電効率は高いと言われていますが、地上設置型の太陽光発電の場合はそれよりも低い角度で設置するのが一般的です。

「傾斜のある土地に設置すればより発電できるのでは？」と思われるかもしれませんが、傾斜のある土地というのは山を切り開く必要があったり、太陽光パネルを安定させる基礎に特別な補強を施す必要があったりするため、余計に費用がかかってしまう場合があるのです。

また、斜面は土砂崩れなどのリスクもあるため、太陽光発電の設置はできるだけ斜面が無い平らな土地のほうが向いています。

海岸沿いから遠い

海に近い土地では、潮風などによる「塩害」が、電子機器の寿命を短くしてしまいます。塩害対策がほどこされている場合は問題ありませんが、通常の太陽光発電システムよりも余計に費用がかかってしまうため、できるだけ海岸から離れた土地のほうが用地としては向いています。

土地の価格が安い

50kWの太陽光発電システムを設置するのに必要な土地面積は、約500平方メートルとなっています。産業用太陽光発電を設置するには、このくらい広大な土地が必要となりますので、土地の価格はできるだけ安いほうが良いでしょう。

電柱が近くにある

太陽光発電は、最寄りの電柱まで電線を引くための費用が事業者の負担となります。また、電柱がない場合は、事業者の負担によって電柱を設置する必要が生じます。そのため、電柱が近くにあるほうが、設置時の費用を抑えることができます。

地盤が強い

こちらは上記でご紹介した「傾斜が無い」という点とも少し共通するのですが、台風や大雨のとき、地盤が弱い土地では土砂崩れなどで太陽光発電が崩壊してしまうリスクが発生します。こういったリスクを回避するためにも、できるだけ地盤が強い土地のほうが、太陽光発電の用地として向いています。

台風などの自然災害が少ない

上記で地盤が強い土地が太陽光発電の用地として向いていると書きましたが、そもそも台風などの自然災害が少ない土地に設置してしまうのも、土砂崩れなど災害に関するリスクを回避するのには有効です。

景観条例や住民からの反対が無い

景観条例がある市町村の場合、太陽光パネルの設置自体が行えない場合があります。また、景観条例がなくても、周辺の住民から反対によって、設置が行えなくなったケースも存在します。太陽光発電を設置する場合は、景観条例や住民からの反対が無いことを確認したほうが良いでしょう。

太陽光発電の用地に向いていない土地

続いて、太陽光発電の用地に向いていない土地について解説していきます。

なお、基本的には上記でご紹介した「用地に向いている土地」の条件を満たしていない土地に関しても、向いていないと判断することができます。

200平方メートル以下の土地

10kW以上の産業用太陽光発電を設置するためには、最低でも200平方メートル（60.5坪）を上回る広さの土地である必要があります。そのため、200平方メートル（60.5坪）以下の土地は、太陽光発電の用地としては向いていません。

日照時間が短い土地

日照時間というのは、太陽が地上を照らしている時間のことです。実は日本国内でも、都道府県によって日照時間が異なります。秋田県や鳥取県などは、全国的にも日照時間が短いので、太陽光発電の用地としてはあまり向いていません。

なお、反対に埼玉県や群馬県は日照時間が長く、太陽光発電の用地として向いていることになります。

住宅街

太陽光発電は、パネルに光が反射する「反射光」がしばしば問題になることがあります。住宅街に大型の太陽光発電設備を設置したい場合、周辺の住宅に反射光が当たり、クレームやトラブルの原因となってしまうもあります。そのため、住宅街は産業用太陽光発電の用地としては向いていません。

アクセスの悪い僻地や離島

太陽光発電に向いている土地の項目で、「日差しを遮るものが周囲に無い」や「電柱が近くある」といったことをご紹介しました。その土地が太陽光発電の用地として相応しいかどうか見るためには、少なくとも一度は自分の目で見る必要があります。

また、太陽光発電を稼働中に問題が起こった時、現地に設置したカメラの映像などだけでは原因の特定が難しい場合も、現地に行く必要が生じる場合もあります。

こういったことから、自力で行ける範囲のほうが望ましく、アクセス自体が難しくなる極端な僻地や離島は向いていないと言えます。

太陽光発電の用地にするメリットとは？

空いている土地を太陽光発電の用地にするメリットには、どんなものがあるのでしょうか？

ここからは、太陽光発電の用地として活用するメリットをご紹介していきます。

安定した収入を得られる（不動産投資と比べてリスクが少ない）

まず、太陽光発電の売電収入により、安定した収入が得られるという点が一番大きいのではないでしょうか。太陽光発電は、固定価格買取制度（FIT）による売電制度が保証されています。

そのため、毎月ほぼ決まった金額を、売電収入という形で得ることが出来るのです。なお、売電で得られる収入は、設置前にある程度はシミュレーションで予想することができます。

また、空き地がある場合に検討されやすい不動産投資（マンション経営など）ですが、田舎の場合は空室率が高くなる傾向にあるためリスキーです。その点、太陽光さえあればどこででも発電ができ収入を生み出せる太陽光発電は、田舎の空き地にはピッタリと言えるでしょう。

田舎の余っている土地を活用できる

「太陽光発電の用地として向いている土地」の項目でご紹介した様々な条件は、田舎の土地のほうが当てはまることが多いことに気づくかと思います。

基本的には土地の費用が安く、20平方メートル以上の広い空き地が多い地方・田舎のほうが、都市部よりも太陽光発電にふさわしい土地が多くあります。そのため、田舎で余っている土地がある場合は、太陽光発電を設置する、あるいは太陽光発電用の用地として貸したり売ったりすることが可能となります。

専門知識がなくても運用可能

太陽光発電の設置は、専門業者が行ってくれます。契約時に見積書などを確認する必要はありますが、運用に関しては基本的に専門知識が無くても行えるため、素人でも投資しやすいのもメリットのひとつです。

太陽光パネルの故障が少ない（メンテナンスが少なくて済む）

太陽光パネルは基本的に故障が少なく寿命が長い（20～30年以上）と言われています。そのため、メンテナンスが比較的すくなくて済むというメリットもあります。

ただし、10～15年ごとに買い替えが必要なパワーコンディショナーや、太陽光パネルの周りに生えている雑草が伸び過ぎないように除草する必要があるため、そういった管理に関する費用は必要になります。

太陽光発電用地として売却するまでの流れ

ここでは、空いている土地を太陽光発電の用地として売却するまでの流れについて、分かりやすく解説していきます。

①太陽光発電業者に土地の査定を依頼

まずは太陽光発電業者に、空いている土地の査定を依頼します。なお、このとき太陽光発電業者は1社ではなく、複数業者に査定を依頼したほうが、より買取価格の高い業者を見つけやすくなります。

②概算査定価格の受け取り

業者に売却を予定している土地の図面や住所などを元に、太陽光発電業者が概算の査定額を提示してきます。

③太陽光発電業者に現地調査を依頼

概算査定額を確認して、更に取引を進めたい業者に対し、現地調査を依頼します。

④正式な買取価格の決定

太陽光発電業者から、現地調査を踏まえた正式な買取価格が提示されます。

⑤売買契約の締結

契約を結びたい太陽光発電業者と、売買契約の締結を行います。

⑥決済および土地の引き渡し

太陽光発電システムの設置に関する諸々の手続きなどが完了後、土地の所有権を引き渡すと同時に、土地の売却額を受け取ります。

契約から売却までの期間は3～6ヶ月

契約から売却までにかかる期間は、通常3～6ヶ月程度です。これは、太陽光発電システムの設置が完了するまでに、事業計画の提出など様々な申請を行って許可を取っていく必要があるためです。

そのため、契約を締結してから実際に土地代金が入金されるまでには、3～6ヶ月かかることになります。太陽光発電業者によっては、太陽光発電の設置が完了する前に、土地代を支払ってくれるケースもあるようですが、その場合は坪単価あたり3,000円～5,000円ほど値引かれてしまいます。

どうしても土地代金を早めにほしい人以外は、しっかり3～6ヶ月待ったほうが買取金額は高くなるでしょう。

太陽光発電が設置できる用地に変更するためには？（地目変更、農地転用など）

ここでは、太陽光発電の用地に関わる地目変更や農地転用などの手続きについてご紹介していきます。

太陽光発電用地として使うには地目変更が必要？

土地にはそれぞれ「地目」があります。地目とは、簡単にいうとその土地が何に使われているかを表しており、土地の種類と言っても良いでしょう。

地目には主に宅地や畑、山林などがあり、全部で23種類あります。この中で、太陽光発電をそのまま設置できる地目は「雑種地」「原野」「山林」「宅地」などとなっています。

それに対し、地目が「田」や「畑」といった農地として登録されている場合は、「農地転用」という作業が必要になります。農地転用は、「田」や「畑」といった農地から、太陽光発電が設置可能な地目へ変更するための手続きのことを指します。

通常の場合、この「農地転用」が済んでから、地目を変える「地目変更」という手続きに移ります。いずれにしても複雑な手続きが必要となりますので、空き地が農地になっている方は、売却前にしっかりと準備をする必要があります。

地目変更以外にも必要な手続きが存在する

農地転用や地目変更以外にも、太陽光発電を設置するために以下のような手続きが必要な場合があります。

• 山林……伐採届出書、林地開発許可など
• 原野……開発許可や宅地造成許可（市街化調整区域内や宅地造成工事規制区域内の場合）
• 宅地……開発許可や宅地造成許可
• 雑種地……伐採届出書、林地開発許可など（敷地内に森林があり伐採が必要な場合）

太陽光発電の用地にした後について

メンテナンス

先程もご紹介しましたが、太陽光発電もパワーコンディショナー（パワコン）の交換や雑草の除去作業などのメンテナンスが必要になります。

• パワーコンディショナー：10～15年ごとに交換
• 雑草の除去：夏場など雑草が伸びやすい時期

その他で必要となる太陽光発電のメンテナンスについて、詳しくは以下の記事をご覧ください。

固定資産税の課税

10kW以上の産業用太陽光発電の場合、出力規模に関わらず固定資産税の課税対象となります。また、10kW未満の住宅用太陽光発電は基本的には非課税ですが、屋根と太陽光発電が一体型（最初から屋根に太陽光発電が取り付いている）になっている家屋の場合、固定資産とみなされて課税対象となるケースもあります。

太陽光発電の固定資産税について、詳しくは以下の記事をご覧ください。

まとめ

この記事では、太陽光発電の用地として適している土地の特徴や条件についてご紹介してきました。

太陽光発電に適した土地の条件としては、「価格が安い」「面積が広い」「日当たりが良い」「電柱が近い」などが挙がります。これらの条件を満たすのは、「田舎の土地」であるという点です。

なお、畑などに太陽光発電を設置する場合は、農地転用の手続きが必要になります。空いている土地の地目が何になっているかを確認して、太陽光発電用地にするための許可などが必要な場合は、しっかり手続きを行うようにしましょう。

田舎で遊ばせている広大な土地がある方は、リスクの少ない太陽光発電の用地として活用することを検討してみてはいかがでしょうか。