2018年9月21日

「再生可能エネルギー」は主力電源に~太陽光発電の役割について~

「再生可能エネルギー」は主力電源に~太陽光発電の役割について~

◆ 「エネルギー基本計画」に再エネを「主力電源化」すると明記されました!

2018年夏、政府は「エネルギー基本計画」を改定し、太陽光や風力など再生可能エネルギーを「主力電源化」と明記しました。その中でも、太陽光発電は、今後、さらに再エネを牽引していく立場になるといわれています。

再エネが「主力電源化」つまり、基幹電源と位置付けられた背景、またそれを実現化していくための課題などを確認し、今後の太陽光発電ビジネスについて考えてみましょう。

【目次】

  1. 再生可能エネルギーをとりまく環境・背景
  2. 現状の課題・問題点
  3. 太陽光発電ビジネスのこれから
  4. 最後に

日本のエネルギーはどのようになっていくべきだと考えられているのでしょうか。2030年、さらには2050年という未来を見据えた際の国の指針が「エネルギー基本計画」によって示されています。

まず最初に2018年7月3日に発表となった「第5次エネルギー基本計画」についてご説明しましょう。

● 「エネルギー基本計画」について

太陽光パネル 風量発電

「3E+S」という用語を耳にしたことはありますか。

エネルギーは、「3つのE(「安定供給(Energy security)」、「経済効率性の向上(Economical efficienty)」、「環境への適合(Enviroment)」)+S(「安全性(Safety)」)」の4つのバランスを保つことが必要とされます。

エネルギー源にはそれぞれ、強みと弱みがあるため、この「3E+S」をひとつのエネルギー源のみで賄うことは困難です。

世界各国は、それぞれの国の事情や情勢などを踏まえ、複数のエネルギー源の組み合わせにより「3E+S」を満たすようなエネルギー政策をたてています。

もちろん、資源に乏しい日本においても、「3E+S」の観点からいくつかのエネルギー源を組み合わせることが必要とされます。

電源構成については、エネルギー源ごとの特性を踏まえ、現実的かつバランスの取れた需給構造を構築する必要があるとされており、そのために、エネルギーミックスにおいてもどの割合がベストな状態であるかをいち早く定める必要があるという状況です。

「エネルギー基本計画」は2002年6月に制定された「エネルギー政策基本法」に基づき、2003年10月に最初の計画が策定されました。

3年ごとの見直し検討が法律で定められており、日本におけるすべてのエネルギー政策は、この基本計画に基づき、検討されていきます。

2007年3月に第2次計画、2010年6月に第3次計画が策定され、2014年には 東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所事故を始めとした、国内外のエネルギー環境の大きな変化を踏まえ、第4次計画が策定されました。

2018年6月までは、この「第4次エネルギー基本計画」を方針として、政策が決定されていました。2018年7月に発表になった計画は「第5次エネルギー基本計画」となります。

「第5次エネルギー基本計画」では、「3E+S」の原則の下、安定的で負担が少なく、環境に適合したエネルギー需給構造を実現 するとしました。

新しい基本計画が発表となったことで、今後はこの「第5次エネルギー基本計画」を基に、エネルギーに関する政策が検討されていくことになります。

2030年、2050年を見据えたエネルギー政策の基本方針として検討された「第5次エネルギー基本計画」では、エネルギーの「3E+S」の原則に加え、「 技術自給率向上/選択肢の多様化確保 」、「 脱炭素化への挑戦 」、「 自国産業競争力の強化 」、そして「 技術・ガバナンス改革による安全の革新 」この4つを「より高度な「3E+S」として掲げています。

また、あわせて、2030年に向け、「 温室効果ガス26%削減に向けて、エネルギーミックスの確実な実現 」、2050年に向けては「 温室効果ガス80%削減を目指して、エネルギー転換・脱炭素化への挑戦 」という対応策を盛り込んでいます。

● エネルギーミックスについて

「エネルギー基本計画」の中で、再生可能エネルギーは主力電源と位置付けられました。温室効果ガス排出のない有望かつ多様で、重要な低炭素の国産エネルギー源とされ、さらに積極的な導入がはかられていくとされています。

2015年に定められたエネルギーミックスの比率によると2030年の再エネ比率の目標は22-24%とされています。東日本大震災前の数値目標が10%程度であったことと比較すると、2倍以上となっています。

また、再エネ比率の中では、地熱が1.0-1.1%、バイオマス発電は3.7-4.6%、風力は1.7%程度ととなる中、太陽光発電は7.0%という目標値が設定されています。このような点においても再エネの中での太陽光発電への期待度が明らかです。

2030年までの実現化のためのキーワードとして「 低コスト化・系統制約の克服・火力調整力の確保 」が掲げられています。

そして、これらのキーワードは今後、再エネが主力電源となることを実現化していくための課題でもあり、また太陽光発電においても、現在、直面している問題でもあります。

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● コストについて

発電 イメージ

世界に目を向けてみると、SDGs( Sustainable Development Goals 持続可能な開発目標 )やパリ協定( COP21 )を背景に、地球温暖化防止に向けて、世界の流れが急速に脱炭素化に向かっていることもあり、再生可能エネルギー自体は注目され始めました。

一方で、省エネ先進国では、再エネ自体の価格が格段に下がったことも、主力電源としての地位を確立したといわれています。

再エネの導入が急速に進んでいる国においては、発電コストは急速に低下しており、その他の電源と比べても、コスト競争力のある電源となりつつあります。

しかし、日本では、再エネの発電コストは低減してはいるものの、国際水準と比べれば依然として高いままです。

再生可能エネルギーによってつくられた電気は、2012年に創設された「固定価格買取制度(FIT制度)」の対象となっています。

国が定めた価格で電力会社が買い取るように義務づけられています。その際、買取費用の一部は、電気料金を通じて再エネ賦課金として国民が負担しています。

2030年度のエネルギーミックスを達成した場合、FIT制度における買取費用の総額は年間3.7~4兆円程度になると考えられています。

2018年度時点で、買取費用の総額はすでに年間3.1兆円程度に達しています。もし、現在の高コストのまま再エネの導入が拡大していけば、国民が負担するコストは想定よりも増大してしまうことが懸念されます。

日本で再エネ大量導入を実現するためには、このコストの問題を避けて通ることはできません。

● 長期安定稼働について

2030年のエネルギー・ミックスでは再生可能エネルギーの導入水準は22-24%と掲げられています。その際、太陽光発電が占める割合は7.0%とされており、発電容量としては64GWが想定されています。

太陽光発電については、2018年現在、国が把握している認定量は90GW程度とされますが、実際に稼働している容量は40GW程度です。

稼働している発電所の多くが、50kW未満の低圧発電所となり、このような小さな発電所の場合、フェンスが未設置であったり、定期的な点検や保守が行われていないケースが多くあります。

また、それらを手掛ける事業者には小規模事業者も多く、将来、設備の修繕などが必要となった際、再投資が可能か否か、という点は度々問題点として懸念されています。

FIT買取期間に限った稼働という状況であれば、再エネが導入水準の22-24%を維持し続けることは難しくなり、エネルギー・ミックスを担っていく立場にはなりえません。

20年、30年が経ち、FIT制度が終了したのちも、地域との共存・共生をはかり、その地域に根差し、必要に応じた再投資をしながら継続して発電事業をしていくことが求められていきます。

そのような点において、太陽光発電に関しては、小規模な低圧発電設備と比較し、高圧・特別高圧といった発電設備はFIT終了後も事業を継続するケースが多いことが期待されています。

今後、太陽光発電ビジネスにおいて大きな役割を果たすといわれるセカンダリー市場などにおいても高圧・特別高圧のような発電設備は長期間の安定稼働が見込めるという点で大きな注目を集めています。

● 系統制約の問題について

日本の電力系統は、これまで主として大規模な電源、つまり従来の電力会社が設置した大量の電力を生み出す発電所と、需要地、すなわち電気を使う場所の2点を結ぶ形でつくられてきました。

その一方で、従来の大規模な電源が立地している地域と、再エネで大量の電気を持続的につくることができる可能性の高い地域、つまり「再エネ電源」の立地ポテンシャルのある地域は、必ずしも一致しません。

そのため、再エネの大量導入を進める中で、いわゆる「系統制約」の問題が顕在化しつつあります。

たとえば、再エネ電源の立地と既存の電力系統が遠く離れていることから、それらをつなぐために、新しい電力系統を建設したり電力系統を増設したりすることが必要になる場合があります。

しかし、新しい系統の建設にかかるコストは非常に高く、再エネを電力系統に受け入れるコストの増大につながります。

● 電力バランスの調整について

太陽光や風力など一部の再エネは発電量が季節や天候に左右され、コントロールが困難です。

条件に恵まれれば、電力需要以上に発電する場合もあり、そのままにしておくと需要と供給のバランスがくずれ、大規模な停電などが発生するおそれがあります。

現在は火力発電の出力調整で対応されています。今後は、電力システム全体の改革によって、広域的な調達など、より柔軟で効率的な調整力の確保が進むといわれています。

再エネを大量導入し主力電源化していくためには、不安定な発電量をカバーすることのできる別の電源、つまり適切な「調整力」の確保が不可欠となります。この調整力の確保も、再エネの導入コストを増やすことになります。

これらの問題に対しての対策はもちろんですが、さらに、天候によって発電量が変わる太陽光などの再エネの導入量が増えれば、発電所の出力を調整することで電力需給のバランスをとる「出力制御」が適用される可能性が高くなってきます。

一方で、調整の必要を減らせるよう、発電計画と実績との差異を減らす取り組みなどによって、再エネの変動に起因するずれ(インバランス)をできるだけ減らしていくよう進めていくことも必要となります。

将来的には、各メーカーが力を入れている蓄電池・それに伴う蓄電システム、また地域に普及している発電設備や蓄電池などをIoT技術で統合的に制御して電力の需給調整に活用する「バーチャルパワープラント(VPP)」、などの技術も期待されており、実用化されることで、本当の意味での脱炭素を実現することになります。

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国が再エネを主力電源と位置付けたことにより、太陽光発電ビジネスにはどのような影響があるのでしょうか。政府が再エネを主力電源とすると決めたからには、今後の再エネへの投資は政府の方針という後押しもあり、追い風になるという見方もあります。

長期間の安定収入という面で太陽光発電をビジネスとして検討していても、政府の動向を様子見していた企業も多くありました。

明言化されたことにより、企業の参入がより進み、また、融資に関わる金融機関の姿勢もポジティブに変わってくることも期待されます。資金を貸す側が増えれば、結果として金利が下がることにも繋がるとされます。

また、課題の1つでもあるコスト面という点については、技術開発も大きなポイントとなります。

変換効率や耐久性に優れた製品が開発され、市場に出回ることで、必然的に、導入コストや保守費用は低下します。課題でもあり、まだまだ大きな市場があるともいわれます。

また、電力の「地産地消」「自家消費」の促進はこれまでよりも急速に進められるでしょう。「RE100(Renewable Energy 100%)」などへの注目もあり、国が主力電源と認めたことは後押しになるといわれています。

しかし、一方で、これまで、FITにおける20年間の投資目的の小規模な発電所は、国の主力電源として、長期間の安定電源として認めることが難しいものが多いことも現状です。

定期的なメンテナンスがされていないもの、安全に配慮された運用がされているかどうか、またFIT終了後も長期にわたって1つの電源として期待できるか否かはこれまで以上に厳しい見方をされることでしょう。

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地球環境保護 イメージ

石油などの化石資源をもたない日本において、自然環境を活かした再エネは、社会を維持し発展させていくために、とても重要な意味を持っています。

日本の再エネは、コスト競争力や系統制約、調整力の問題など、大量導入に向けて解決しなければならない課題がまだまだたくさんあります。しかし、大量導入に向けた流れが変わることはありません。

太陽光発電は、近い将来、自家消費・地産地消のエネルギー源として活用するとともに、大型電源として売電市場で活用されることが見込まれています。太陽光発電は再エネの中では、急速なコストダウンが見込まれ、期待される電源といわれています。

今後の太陽光発電ビジネスについてお悩みであれば、楽エネまでお気軽にご相談ください。

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