知っておきたい太陽光発電の変換効率について

知っておきたい太陽光発電の変換効率について

太陽光発電のモジュール変換効率は高いほどより効率的に電気をつくりだすことができます。この記事では、太陽光発電のモジュール変換効率について、分かりやすく解説していきます。

【目次】

  1. 太陽光発電の変換効率について
  2. 太陽光の変換効率が左右される要因
  3. 太陽光発電は効率が悪い?再生可能エネルギーの効率の比較
  4. まとめ

はじめに、太陽光発電の変換効率について解説していきます。

太陽光発電の変換効率とは?

太陽光発電の「変換効率」とは、「太陽光パネルが太陽光エネルギーをどれくらい電気エネルギーに変換できるか?」を示しています。もっと簡単に言うと、「太陽光からどのくらい電気を発電できるか」を表した数値です。

変換効率が高いほど、同じ枚数の太陽光パネルを設置しても、より多くの電気を生み出せることになります。

太陽光発電の変化効率を現す指標として、「モジュール変換効率」と「セル変換効率」の2つが存在しています。

モジュール変換効率

モジュール変換効率とは、太陽光パネル(太陽電池モジュール)の1平方メートルあたりの変換効率を表す指標です。太陽光パネルの発電能力を表す指標として一般的に使われるのがこの「モジュール変換効率」です。

モジュール変換効率は、以下の計算式で導き出すことができます。

モジュール変換効率=(モジュール公称最大出力(W)×100)÷(モジュール面積(m2)×1000(W/m2))

セル変換効率

メーカーなどのカタログを見ていると、モジュール変換効率の他にセル変換効率という記載があります。セルとは太陽電池モジュールを構成している最小単位の構成部品であり、セル変換効率とは太陽電池セル1枚あたりの変換効率を表す指標です。

セル変換効率は、セルを繋げた時の電気抵抗の影響を受けないため、モジュール変換効率に比べて数値が高くなる傾向にあります。

セル変換効率は、以下の計算式で導き出すことができます。

セル変換効率=出力電気エネルギー÷太陽光エネルギー×100

セル変換効率は、モジュール変化効率に比べて数値が大きくなるため、業者の中にはセル変換効率を表示して、太陽光パネルの性能が高いように見せようとする場合もあるので注意しましょう。

素材ごとの変換効率と限界数値

太陽電池モジュールの素材によっても、変換効率の数値は異なります。

結晶シリコン系太陽電池

結晶シリコン系太陽電池は、日本国内でのシェアが約8割近くにものぼる太陽電池モジュールで、製造方法によって「単結晶」「多結晶」「薄膜」に種類が分かれます。

「単結晶」「多結晶」「薄膜」それぞれの変換効率ですが、

  • 単結晶パネルの変換効率:20%程度
  • 多結晶パネルの変換効率:15%程度
  • 薄膜パネルの変換効率:10%程度

となっています。

また、2019年時点で製品化レベルで最も変換効率が高い太陽電池モジュールは、東芝製(SPR-X22-360)の「22.1%」となっています。

現状で他の種類の太陽電池と比べて最も変換効率が高い結晶シリコン系太陽電池ですが、変換効率の限界数値は理論上「29%」と言われています。

化合物系(CIS)太陽電池

化合物系太陽電池とは、CIS太陽電池とも呼ばれ、銅・インジウム・セレンという3種類の元素を組み合わせて作られた「化合物半導体」を使用しています。

コストがかかる結晶シリコン系太陽電池と比べると低コストで生産できるため、大量の太陽光パネルを設置する産業用太陽光発電などでCIS太陽電池が選ばれるケースもあります。

化合物系太陽電池は、ソーラフロンティアなどの太陽光発電メーカーが採用しており、変換効率は「15%」程度となっています。

有機系太陽電池

まだ研究段階の太陽電池としては、有機系太陽電池があります。有機系太陽電池は、チオフェンやベンゼンといった有機化合物を使用した太陽電池で、「低コスト」、「軽くて薄い」、「柔らかく自由に折り曲げられる」などといったメリットがある反面、発電効率は「10%」程度とまだ低いのが課題となっています。

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ここでは、変換効率が左右される要因についてご説明していきます。

気温(高温)

太陽光パネルは、一般的に「高温に弱い」という性質があります。太陽光発電の変換効率を定める国際基準では、25度の環境で計測された数値を「変換効率」としてカタログなどに掲載しています。

そのため、気温が25度を超えると発電効率が下がり始め、1度ごとに約0.5%ほど発電量が低下していきます。そして、30度を超える真夏になると、約30%程度も発電量が下がってしまう場合もあります。

こうした事情から、太陽光発電が最も発電できる季節は、日差しが強いけれど高温の夏場ではなく、気温が上がりきっていない5月頃になっています。

積雪

太陽光パネルに雪が積もってしまうと、晴れていても太陽光がパネルまで届かないため、発電は行えなくなってしまいます。

また、場合によっては太陽光パネルに雪の重さが加わり、屋根が重さに耐えきれずに破損してしまったり、太陽光パネルからの落雪に近隣住民が巻き込まれてしまうような危険性もあります。

降雪地域に太陽光パネルを設置する場合の対策としては、カナディアン・ソーラーなど雪対策が施されている太陽光パネルを選んだり、落雪防止の処置に気を配ったりすることが重要です。

天災

台風・落雷などの天災によるシステムトラブル等で、太陽光発電の変換効率(発電効率)が下がってしまう(発電が行えなくなってしまう)ことがあります。

まず台風の場合ですが、強風によって太陽光パネルが飛んでしまうことや、大雨によって太陽光パネルなどが水没してしまうといった事例が実際に発生しています。太陽光パネルが飛ばされたり水没したりして破損すれば、当然発電は行えなくなります。

また、落雷の場合の太陽光発電への被害ですが、自宅など太陽光発電の設置場所の近くに落ちた雷(誘導雷)の影響で、パワーコンディショナーが壊れてしまうといった事例があります。

しかしながら、太陽光発電に誘導雷への対策が施されていますので、被害は限定的に抑えられます。また、雷によってパワコンの基盤などが故障してしまった場合は、保証期間内であれば無償交換もしてもらうことができます。

経年劣化

太陽光パネル自体は寿命が長く、20~30年以上もつと言われています。しかしながら、変換効率は年0.27%程度ずつ劣化していくと言われており、現実として変換効率は年々下がっていることになります。

経年劣化による変換効率の低下に対してメーカーでは「出力保証」を設定しています。

塩害

海岸からの距離が2キロ以内の場所は、塩害地域と呼ばれ、海の塩による影響を受けてしまいます。

太陽光発電においては、塩害対策を施していない太陽光パネルの場合、太陽光パネルの劣化やパワーコンディショナーなどの電子機器の破損に繋がるため、変化効率(発電量)も下がってしまう可能性があります。

対策としては、塩害対策が施された太陽光パネルを設置するのが最も確実です。

太陽光パネル表面の汚れや影

草木や雲の影、鳥の糞、落ち葉など、太陽光を遮るものが太陽光パネルの上にあると、発電効率が下がってしまうことがあります。

また、こうした太陽電池モジュール表面の汚れ(影)が原因で、影になってしまったセルがパネル全体の電気の流れをせき止めて発熱する「ホットスポット」現象を引き起こし、最悪の場合火災になることもあります。

汚れや影による変換効率の低下を避けるためにも、太陽光パネルや周辺環境のメンテナンスは定期的に行ったほうが良いでしょう。

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太陽光発電は、再生可能エネルギーの発電方式の中のひとつです。

再生可能エネルギーの変換効率の比較

ここでは、各再生可能エネルギーの変換効率を比較していきます。

  • 水力発電:80%
  • 風力発電:25%
  • 太陽光発電:20%
  • 地熱発電:8%
  • バイオマス発電:1%

ご覧の通り、再生可能エネルギーの中では水力発電の変換効率(発電効率)が80%と、飛び抜けて高い数値になっています。太陽光発電は再生可能エネルギーの中では風力発電に次ぐ3番手となっており、全体の中では中程度の発電効率と言えます。

しかし、再生可能エネルギーの中で普及しているのは、圧倒的に太陽光発電です。これは、太陽光発電が一般家庭に設置されたり、比較的設置が容易であり利回りが高く実現性が高いことから投資の対象となっていたりするのが要因となっています。

再生可能エネルギーの設置費用の比較

それでは、太陽光発電が投資などに選ばれる理由は何なのでしょうか。ここでは、その理由を探るために、各再生可能エネルギーの設置費用を見ていきます。

1kWあたりの設置費用
  • 太陽光発電:平均28.6万円(10kW以上のシステムの場合)
  • 風力発電(陸上):平均35.4万円
  • バイオマス発電:平均45.4万円
  • 水力発電(200kW以上1,000kW未満):平均127万円
  • 地熱発電:平均170万円

参考:調達価格等算定委員会「平成31年度以降の調達価格等に関する意見」

上記で分かる通り、太陽光発電は他の再生可能エネルギーと比べて1kWあたりの設置費用が低コストであることがわかると思います。その理由は、FIT(固定価格買取制度)などの導入によって、国が太陽光発電の普及を推進してきたことが挙げられます。

FITによる売電価格を比較

また、再生可能エネルギーの普及を支えているのがFIT(固定価格買取制度)です。
以下、参考までに各再生可能エネルギーの売電価格を比較します。

2019年度の売電価格(1kWhあたり)
  • バイオマス発電(2,000kW以上):32円
  • 水力発電(200kW以上1,000kW未満):29円
  • 地熱発電(15,000kW以上):26円
  • 風力発電(陸上):19円
  • 太陽光発電(10kW以上):14円

上記で分かる通り、太陽光発電の売電価格は再生可能エネルギーの中ではかなり下の方になっています。これは、普及が進み設備費用が安くなったことが要因として考えられます。

太陽光発電が選ばれる理由は設置費用の安さ

再生可能エネルギーの中では、太陽光発電の発電効率は3番手程度で、それほど高くありませんでした。それにも関わらず、太陽光発電が家庭用や事業用、投資先などに選ばれているのは、設置費用の安さが理由と言えます。

また、設置費用の下落にともなって、売電価格も再生可能エネルギーの中では安くなっているのですが、たとえば10kW以上の太陽光発電投資の場合ですと、2019年現在でも10%程度の利回りは確保することができます。このことも、太陽光発電が投資先に選ばれる理由のひとつになっています。

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知っておきたい太陽光発電の変換効率について まとめ

変換効率は、太陽光などのエネルギーをどれだけ電気に変換できるかを表した数値です。太陽光発電の場合、現在のところ最も普及している結晶シリコン系太陽電池で20%程度となっています。

また、再生可能エネルギー全体で見てみると、太陽光発電の変換効率は全体の3番目程度となっており、決して高い訳ではありません。

それでも投資対象などに太陽光発電が選ばれるのは、ほかの再生可能エネルギー発電装置よりも設置が容易であり、設備費用が最も安いことにより、産業用太陽光発電を設置した場合10%程度の利回りが確保できるためです。

なお、太陽光発電の変換効率は、現在も向上させるための努力が行われています。

NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)が定めるロードマップ「PV2030+」によると、2025年には以下の数値まで変換効率を向上させることを目指すことが明記されています。

2025年のモジュール変換効率の目標

  • 結晶シリコン:25%
  • 薄膜シリコン:18%
  • CIS:25%
  • 有機系:15%
  • 色素増感:15%
  • 超高効率(化合物多接合集光型等):40%

結晶シリコン系の変換効率は限界がありますが、この限界を突破するためにシャープなどが研究を進めている「超高効率(化合物多接合集光型等)」は、40%という変換効率を目標に研究開発が進められています。

こうした次世代の太陽光発電が開発され実用化されれば、これまでよりもより効率的に多くの電気を発電可能になり、エネルギーの自給自足などがより促進されるでしょう。

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